10/03/04●3月24日に発足する「電子書籍協会」は10社増えて31社に! 印刷
  講談社や小学館、集英社など大手出版社21社が参加して発足をする予定だった「日本電子書籍出版社協会」の参加社が10社も増えることになった。列記すると、幻冬舎、東洋経済、日経新聞出版、早川書房、扶桑社、ぶんか社、ポプラ社、マガジンハウス、丸善、山と渓谷社。

 正式発足は、今月の24日だが、なぜ、駆け込みのように参加社が増えたのだろうか?

 それは、やはり、キンドルのような電子ブックリーダーが日本で普及すれば、紙の書籍市場が崩壊すると、各社が危機感を強めたというしかない。同協会は、2000年に発足した電子文庫出版社会を母体とし、同会が運営する電子書籍の販売サイト「電子文庫パブリ」を継承するものだが、これまでは、けっこうのんびりと運営されてきた。しかし、iPadの発売、アマゾンの日本開始も迫っているので、事態は切迫してきた。

 一部の委員によると、「アマゾンなどとは積極的に話を進めていく」というが、これまでの報道などによると、出版社側が共同して、現在の市場を守りたいと願っているのは明らかだ。それは、意味不明の「共同フォーマットづくり」「電子出版を含めた統一契約書の作成」などを協議しているからである。じつは、参加社のなかには、すでに著者に電子出版権の独占契約を働きかけているところもある。

そんなにアップルやアマゾン(電子出版)が怖いのか?といえば、じつはそのとおり。はっきりと書くと問題があるので、ここでは簡単にしか書かないが、電子出版が進むと、以下のようなことが起こる。

1、これまで再販制などで守られてきた書籍の流通制度は崩壊する

2、出版社は書籍の価格決定力を失う

3、著者が著作権法に基づいて独自に電子出版するようになる

 この3点は決定的なことで、本当にこうなれば、これまでの出版ビジネスモデルは一気に崩れる。新聞も紙に立脚している以上、同じ道をたどる。

 しかし、紙から電子媒体へとデバイスが変わることは、ユーザーにとっても著作者にとっても歓迎すべきことだ。紙の本より、電子書籍のほうがはるかに便利だし、価格も安くなる。著者も、別に出版社をとおさなくてもいつでも自作を出せるし、力のある著者なら印税収入も紙より増える。つまり、これは、書籍が市場原理に基づく、普通の商品になるとを意味している。

 もうこれ以上は書けないが、いまの著作権法が「著述のデジタル化に対する権利は著者にある」と規定している以上、これは仕方がないことだ。