10/04/01●日本電子出版協会、「EPUB日本語要求仕様案」を公開 印刷

  日本電子出版協会(JEPA)は、電子書籍データフォーマットの日本語固有仕様「ePUB日本語要求仕様案」を策定し公開した。

 ePUBは米電子書籍標準化団体IDPF(International Digital Publishing Forum)が策定した事実上の世界標準フォーマット。JEPAは昨年11月にIDPFに加盟し、日本語仕様の調整を行ってきた。今回の日本語拡張仕様案の主な項目は、「縦書きと横書き」「文字組の方向、ページ開きの方向」 「縦書き文書中の横書き(柱、ノンブルなど)」「横書き文書」「縦横表示方向の変更」「縦横各方向でのスタイルシート」「縦中横」「縦書き文章中の欧文処理」「禁則処理」「ルビ」「ルビ(モノルビ、熟語ルビ)」からなっている。JEPAでは、この案を基に、同じ漢字圏である中国/韓国とも連携して、漢字処理の標準化をIDPFに提言し、仕様の国際標準化を目指すという。

 

 IDPFのePUB仕様書には、将来方針として「コンテンツの国際的なサポート」とあるが、現状では日本語の特徴である、「縦書き/禁則処理/ルビ」などにはまったく対応していない。したがって、日本語の特殊な仕様に本気で対応してくるかどうかと言えば、どうでもいいといったところではないかと思う。また、中国/韓国が同じ漢字圏であるからといって、日本語の特殊な漢字仕様にすんなり連携してくるとも思えない。

 

 個人的な見解を述べれば、電子書籍化が進むなかで、ガラパゴス化しないためには、日本語の特殊性である「縦書き」「ルビ」などにこだわるのは、やめるべきではないか。そんなことにこだわるより、いっそうのこと「横書き」のみに統一して考えたほうが利口だと思う。要するに、日本語の特殊性をあきらめたほうが、デジタルワールドではやりやすいはずだ。

 しかし、こんなことを主張する人間はまったくいない。それは、「日本文化の破壊だ」「日本語を愛していない」と批判されるからだ。だが、デジタル世界で生きてみると、日本語がつくづくこの世界になじまないのを実感する。いまさら、縦書きにこだわること自体が滑稽だ。

   ところで「Kindle」はePUBフォーマットではありません。