11/05/15●新潮社が自社新刊をすべて電子化。紙と電子併存モデルをスタート! 印刷

読売新聞5月14日記事が、「紙も電子も成り立つか 新潮社、全新刊を配信へ」というタイトルで新潮社の新しい試みを伝えた。その記事によると、新潮社は先月末、「新潮ライブ!」(http://www.shincho-live.jp)というサイトを開設し、そこで、
自社の電子書籍約580点がどの書店で購入でき、どの端末で読めるかをデータベース化した読者サービスを開始。さらに、今後は、作者の許諾を得られなかったものを除き、新刊書籍すべてを電子化していくという。電子化の時期は紙の本の発売から半年後、価格は紙の本の8割を基本にするという。

 すでにアメリカでは、紙と電子の同時発売が定着化しているのなか、日本の出版社でここまで踏み切るのは、おそらく新潮社が最初。ただし、日本ではまだアマゾンがつくったような電子書籍市場はないから、「とりあえず半年後」ということにしたのだろう。

  新潮社の柴田静也・開発部長は、こう言っている。「(サイト開設は)自社作品の何が電子化され、どこで読めるのかを指し示すのが出版社の使命と考えた」「電子化の時期や価格はとりあえずのもの。どういうビジネスモデルが考えられるか、市場や読者の動向を見ながら試行錯誤していきたい」

  おそらく、アマゾンやグーグルなどが本格参戦しなければ、日本では当分の間、紙と電子の併存状況が続くと思う。ただ、こうした併存状況は、じつは出版社にとっても著作者にとっても、将来を見据えた場合、本当は自分の首を絞めるだけで、あまりいいことではない。このままだと、電子書籍でも日本はガラパゴス化するだけではないだろうか。