11/08/01●中国の電子出版は低成長!端末は売れず、「電子出版博覧会」も低調 印刷

先にこの欄で取り上げた中国の電子新聞・電子書籍などに関する業界カンファレンス「中国電子出版博覧会」(7月5日~8日)は、まったくの低調に終わった。このカンファレンスは中国新聞出版研究院が毎年7月に主催しているもので、海外からも多くの出版関係者が訪れる予定だったが、今年は中国メーカーの電子書籍端末の販売不振もあって、参加社が減り、会場も変更、縮小されて行われた。

 参加者の1人によると、「本当にまったく盛り上がらなかった。パクリ天国の中国では電子書籍は無理なんでは」とのこと。

 中国では、大手出版社が総じて電子書籍に非協力的。そのため、アマゾンの「Kindle」のブームを見て中国初の電子書籍リーダーを発売したHanvon社(漢王科技)は、作品集めに苦労。鳴り物入りで発売した書籍リーダー「漢王」も、まったく売れなかった。

 Hanvon社はこの第1四半期が赤字で、5月には重役9人に株インサイダー取引疑惑が持ち上がり、いまや倒産の危機にあるという。中国では、所得の低い消費者はケータイで済ませ、所得の高い消費者 は「iPad」や「Androidスレート」に行ってしまい、電子書籍端末には興味を示さない。そのうえ、海賊版、パクリが横行していて、電子書籍はものすごい数で増えてはいるものの、健全な市場が形成される見込みはいまのところないようだ。

  漢王科技が6割以上のシェア(電子書籍端末市場)