11/08/11●アメリカの出版市場は紙と電子が共存で、持続的に成長中! 印刷

米国出版社協会(AAP:The Association of American Publishers)とシンクタンクのBISG(The Book Industry Study Group)が始めた新しい出版統計サービス「BookStats」の最初のレポートが8月9日に発表され、その内容を『ニューヨーク・タイムズ』紙が報じている。

  それによると、アメリカの書籍出版は、2008年以降の2年間で、全体として5.6%と低いながらも着実に成長している。日本のように、全体としての出版不況は起こっていない。また、電子書籍も着実に売上を伸ばしている。

   

  

  2010年、アメリカでは26億冊以上の書籍が販売され、279億ドルの売上(出版卸販売額)を記録した。電子書籍の売上は8億7800万ドルで、構成比は2008年の0.5%か ら6.4% (13倍)と急伸した。電子書籍売上8億7800万ドルということは、日本円にすると約700億円となり、これは日本の約580億円を超えている。これまでの日本の調査レポートでは、日本の電子書籍(といってもほとんどがケータイコンテンツ)の売上はアメリカを上回っているとされてきたが、そうではないことが、これではっきりした。しかも、アメリカの電子書籍は一般書が中心である。

  つまり、アメリカではプリント版の書籍の落ち込みを電子書籍が補っているということになる。

 「BookStats」はAAPとBISGが共同で立ち上げたもので、これまでアメリカには正確な出版売上の数字がなかった。もちろん、これまでにもAAPは出版界の売上を発表してきたが、それは会員企業の大手(サイモン&シュースター、ランダムハウスなど)14社の申告による卸販売額であり、アメリカの書籍出版の全体を代表する ものではなかった。その意味で今回のレポートは、より正確なアメリカの出版界の動向を知るうえでの貴重な資料だ。