11/09/13●ペーパーバック激減!アメリカの書籍市場は電子書籍で激変 印刷

電子書籍の普及でアメリカの出版市場は激変している。アメリカ出版社協会(AAP)が発表した6月の出版統計(出版社の卸販売額)によれば、電子書籍は前年同月比167%増となったが、成年向けペーパーバックは、なんと-64%と、激減している。同ハードカバー(-25.4%)、量販本(-21.6%)、児童・青少年向けハードカバー(-30.8%)、同ペーパーバック(-13.6%)と、紙書籍(印刷本)は、いずれも大きなマイナスを記録し、まさに紙は“総崩れ”とも言ってもいい状況だ。 

 今回のAAPの調査は、印刷本の4つのカテゴリのすべてに関する数字を提供している79社のデータを元にしたもので、そのうちの15社が電子書籍のデータも提供している。その意味では、市場全体を現すものではないが、それでもこの数字は衝撃的だ。アメリカでは2大書店チェーンの一つ、ボーダーズが倒産し、リアル書店は激減している。その影響がもろに出たことと、アマゾン「Kindle」などの書籍リーダーの急速な普及が、紙書籍激減の原因だ。

 実際、「近くに本屋がないので、遠いところの本屋に行くくらいなら、アマゾンで注文したほうがいい。さらに、それよりもすぐに読めるから、Kindleで買ったほうがいい」という読者が増えている。

 ペーパーバックに関して言うと、従来のパターンなら、新刊ハードカバー発行後1年後に刊行されるのが普通だった。しかし、最近では各社ともに発行間隔を短縮しているから、ペーパーバックの価値はいよいよなくなってきたと言えるだろう。日本でも、アメリカのような電子書籍市場ができれば、真っ先に影響を受けるのは「文庫」であるのは間違いなさそうだ。

Adult Paperback Revenues Down Nearly 64%, By Jason Boog, Galley Cat, 09/09/2011