11/09/18●松竹と講談社の漫画原作に関する著作権争い、泥沼化の様相! 印刷

松竹が10月からの国内上演を予定している韓国ミュージカル『美女はつらいの』は著作権侵害にあたるとして、原作の漫画を出版した講談社と原作者の鈴木由美子さんが、9月14日、東京地裁に公演中止を求める仮処分申請を行った。これに対し、松竹は17日、同社の見解を述べるとともに、公演は予定通り行うとするコメントを発表。両社の争いは、落とし所がないまま、公演は行われる模様だ。

 

 今回の韓国ミュージカル『美女はつらいの』は、鈴木由美子さんの作品『カンナさん大成功です!』であるのは明らか。この漫画は1997年の発売以来、国内で約320万部が売れ、韓国でも大ヒット。それを受けて、韓国企業が2006年に『美女はつらいの』のタイトルで映画化。この映画化に際しては、講談社と韓国企業の間に契約が結ばれ、日本国内でも漫画の原作名で公開されている。

 ところが、その後、別の韓国企業がミュージカル化したが、講談社との契約交渉がまとまらないまま2008年に上演された。そして、今回は、大阪・松竹劇場での上演後、12月には韓国公演、さらに中国・北京とシンガポールなどでのアジアツアーも計画中という。

 この経緯を見れば、ミュージカル化した韓国企業の著作権侵害は明らかで、松竹側の主張「韓国の企業からは公演の許可を受けており、基本的には韓国企業と講談社との問題」はその通りとしても、松竹は著作権法を軽視していると言うしかない。もし、差し止め請求が却下されれば、今後、日本漫画を原作とする二次制作物はパクリ放題になる。