11/10/10●ヤフーも電子書籍に本格参入。「Yahoo!ブックストア」を今冬にもスタート! 印刷

 

「とうとうヤフーもやるわけね。これでまた選択肢が増えたけど、この先どうなるの?」という、ユーザーの反応が圧倒的。ヤフーは、開催中の「CEATEC JAPAN 2011」の会場で、電子書籍配信サービス「Yahoo!ブックストア」を今冬にも開始することを発表した。国内の電子書籍配信ビジネスがいずれも不振のなか、ヤフーの対応が注目されていたが、ついに、本格的な参入となった。ただし、これまで漫画を中心に取り扱ってきた「Yahoo!コミック」の発展形であり、スタート時のコンテンツ数は3万点ほどという。

 

  ヤフーは、「Yahoo!ブックストア」の開設にあたって、サービスの基本理念にあたる「電子書籍3原則」を消費者向け・出版社向けにそれぞれ制定した。

 消費者向けは、「すべての本を探せる、買える」「マルチデバイスで読める、所有できる」「ソーシャル連携で感動が深まる、繋がる」の 3つ。ヤフー高田正行氏(R&D統括本部 フロントエンド開発2本部 開発1部 部長)は「“オープン”を第一にするということ。端末も、フォーマットもオープンにしていく」と、オープン性をとくに強調した。

 出版社向けは「販売価格や期間を自由に設定できる」「課金のみならず、広告モデルも選択できる」「国内外を問わず同じプラットフォームで販売できる」の3つ。高田氏は「ヤフー自らが本を編集したり独自に値付けして販売するサービスではない。本が購入しやすい場所を提供するが、あくまでも(販売の)主体となるのは出版社や、コンテンツの権利を保持する会社」と述べた。

 

 ヤフーの参入で、注目されるのは、1、ヤフーが国内最大手ポータルサイトであり、すでに多くの潜在的ユーザーを抱えていること。2、今後は、ポータルの強みを活かして、オープン性やソーシャル連携をはかっていくこと。3、電子書籍の事実上の国際標準ファーマット「EPUB3」を採用していること。

 この3点で、これまで国内で立ちあがった電子書籍サービス以上の強みを有しているのは間違いない。「Yahoo!ブックストア」はPCだけでなくiOS、Androidなどにも対応する。

 ヤフーはこれまで集英社とともに、「Yahoo!コミック」でのEPUB配信に早くから取り組んできた。講談社が国内しか通用しない「.book」を全面的に採用していることと比較すると、「EPUB3」のほうが今後は圧倒的なアドバンテージを持つだろう。したがって、今後、各出版社はヤフーの電子書籍ストアに参加するためには、コンテンツの「EPUB3」化を図らざるを得ないと思われる。

 

 とはいえ、ヤフーの電子書籍ビジネスが本格化するのは来年。当初は漫画を中心の「Yahoo!コミック」がベースだから、今後一般書を加えて、コンテンツ数が予定通り数十万点になってみないとわからない。また、ヤフーではクラウドとの連携で、2012年4月をめどに「クラウド書庫」を開設するというから、その後に、成否がはっきりするだろう。

 すでに、ユーザーは国内の電子書籍サービスと端末の乱立にうんざりしている。