11/11/04●「ブックフェス」に空前の人出、『Steve Jobs』がミリオン。この不況下で一時的な出版盛況のなぜ? 印刷

10月29・30日の2日間、東京・神田神保町で行われた「第21回目神保町ブックフェスティバル」は、空前の人出。すずらん通り、さくら通りは人で埋め尽くされ、各出版社の出店ブースで恒例となった1冊・100円または半額のバーゲンでは、あまりの混雑に本にたどり着くこともできない状態が続いた。「こんなことは初めて。間違いなく過去最高の人出だ」と、関係者は目を丸くした。1日10万人以上の人出があった模様だ。

  また、注目された『Steve Jobs』(講談社)は、11月2日にⅠ巻を10万部、Ⅱ巻を7万部増刷して、合計発行部数102万部になり、ミリオンに到達。こちらも、発売2週間を待たずにミリオンと、最近にない記録を達成した。

 そんななか、中央公論新社が11月10日に5点を揃えて「中公選書」創刊するということもあり、「出版不況なのにどうなっているのか?」という声が上がっている。

 たしかに、今年も書籍、雑誌ともここまで、前年比で売上をかなり落としている。また、書店も今年の5月でついに1万5000店に減少している。また、期待された電子書籍はまったく不振。アマゾンが日本を開くといっても、どうなるのかもまだ見えてこない。

 「いまや日本は震災後の大不況になりつつある。パナソニックをはじめとして家電は赤字でリストラ必至。トヨタもホンダも減産で自動車もダメ。さらに、野村をはじめ証券・金融も総崩れで、リストラに入った。そんななか、せめて街に出て激安本でも買おうという人でごったがえしたのでは。スティーブ・ジョブズの本も1巻1995円ですから、この先、返品がどっと返ってくるのでは?」というところが、正しい現状分析だろう。