12/01/06●今年、出版不況はさらに深刻化必至、日販が年末年始8.8%減のスタート 印刷

日販が発表した12月29日~1月3日の売上げ動向は、「書籍」が前期比5.8%減、「雑誌」が同11.8%減、合計では同8.8%減と前年とは一転、2桁に迫るマイナスとなった。
 書籍のジャンル別では「書籍コミック」が同2.5%増となった以外、9ジャンルすべてでマイナス。「文芸書」(同17.9%減)、「ビジネス書」(同 11.7%減)の落ち込みが目立つ。

  また、雑誌のジャンル別では、「週刊・隔週刊」が同2.5%増となったが、そのほかは前年を下回った。とくに「コミック」は同 23.5%減と大幅に落ち込んだ。
 ここで、昨年末に発表された日販の中間決算を見ると、売上高2863億円、前年比3.1%減、純利益11億円、前年比67.1%増の減収増益となっている。日販と業界を二分する取次大手のトーハンも、売上高2385億円、前年比4.1%減、純利益12億円、同3.5%減の減収減益となっている。

  両社とも2000年には通年8000億円を超える売上高があったことを思うと、出版不況はますます深刻化しているのがわかる。もはや、この業界は縮小を重ねていくしかない。

  じきに、出版科学研究所から2011年度の出版物販売のデータが出るが、2011年11月の出版物販売推定金額は前年比4.7%減の1409億円。また、2011年1月から11月の累計は同比3.8%減、通年で700億円マイナスの1兆8050億円前後となっている。毎年毎年500億円~1000億円が失われている傾向は変わらない。

  今年は、欧州危機、空前の円高、国内企業の空洞化、増税など、過去に類を見ないマイナス要素が重なるので、出版不況は泥沼化するだろう。

販売ルート別推定出版物販売額 10年間推移(百万円)

書店

CVS

インターネット

駅売店

生協

スタンド

割販

合計

2001

1,655,258

490,079

105,345

50,497

31,987

7,000

2,340,166










2002

1,628,944

489,276

96,366

50,500

30,196

7,000

2,302,282










2003

1,619,201

463,831

92,254

50,000

28,656

5,900

2,259,842










2004

1,624,879

447,091

81,187

48,969

27,711

3,200

2,233,037










2005

1,603,619

439,171

74,873

47,500

26,685

2,934

2,194,782










2006

1,596,433

425,326

67,638

42,231

25,058

2,442

2,162,636










2007

1,501,878

382,217

93,200

67,644

42,000

23,230

2,110,169










2008

1,467,849

354,654

101,200

63,605

41,600

21,557

2,050,465










2009

1,426,829

312,413

113,400

59,529

40,768

20,307

1,973,246










2010

1,401,681

285,984

128,500

53,397

39,773

19,291

1,928,626

 『出版ニュース』『新文化』より