2013年6月24日●『プレジデント』『週刊現代』の富裕層特集などでコメント 印刷
作者 junpay   

 最近の経済誌はどこも特集主義。『プレジデント』誌7月15日号は、「大富豪7つの教え」とカバーに大きくタイトルが打たれ、富裕層特集となっている。この特集記事の取材に協力した。同じく、『週刊現代』(7月13日号)の富裕層記事「自分の資産を海外に移す日本の大金持ちたち それで幸せなの?」の取材にも応じた。

 

 日本がどんどん貧しくなっていくのと反比例して、メディアでは富裕層の記事が増え出している。庶民の羨望を煽って視聴率を取りにいくのが狙いだ。そのため、週刊誌記事は、いつも「お金持ちというのはお金があるだけでじつは不幸である」という描き方になる。今回の週刊現代記事は、とくにそうした傾向が強かった。つまり、「幸せではない」という結論になっている。もちろん、私は取材に協力はしたが、この結論には賛同していない。

 なぜなら、実際は、国内にいるより国外にいるほうが、富裕層はよほど幸せだからだ。そもそもボーダレスになった現代世界で、「国内、国外」を論じること自体がおかしい。とくに富裕層にいたっては、世界中どこにでも自由に行ける、行きたいときに行きたいところ行って暮らす、過ごせるのだから、このようなテーマ自体が成り立たない。

 ただ、そんな身も蓋もない ことを言っては記事は成り立たない。週刊誌の世界を知っているだけに、仕方ないと思っただけだ。それに、週刊現代は知り合いも多い。いずれにせよ、庶民は国外に出て自由を謳歌している富裕層を許せない。おカネも持ち出したうえ、海外で幸せいっぱいにゴージャスに暮らしている(実際はそうなのだが)のを認めたら、みじめになるだけだから、こうした記事を読んで安心したいのである。たとえ、それが事実でなかったとしても…。