2011年11月■自著『資産フライト』(文春新書)記事の記録 印刷

2011年11月1日 『ZAITEN(財界展望)』(12月号 )新刊欄

2011年11月1日 『財界さっぽろ』(12月号) コラム記事

2011年11月3日『週刊文春』(11月10日号)特集記事「日本人の「資産フライト」恐るべき実態」で紹介

2011年11月7日 『東洋経済』(11月21日号)新刊新書サミング・アップ欄

2011年11月13日 東京新聞/中日新聞【書評欄】

2011年11月14日 『AERA』(11月21日号)【BOOK】欄

 ↑ 『週刊文春』 記事

 ↓ 『ZAITEN(財界展望)』(12月号 )新刊欄記事の全文

 『資産フライト 「増税日本」から脱出する方法』(文春新書 、定価788円)

 最近、富裕層の海外脱出が多くのメディアで取り上げられるようになりました。この本は、その実態をリアルに描いた、まさにタイムリーな1冊です。タイトルの「資産フライト」とは、文字通り、資産を海外に持ち出すこと。著者の山田順氏は、富裕層のリアルの姿をここ数年にわたって取材し、このタイトルに行きつきました。

 驚くのは、最近は、資産フライトをするのが富裕層ばかりか、一般のサラリーマンやOLにまでに広がっていること。冒頭から、1000万円の現金を持って、成田から香港行機の飛行機に搭乗する中年夫婦が登場します。これには、読者は衝撃を覚えると思います。

 資産フライトは、ある意味で、この日本を捨てることにつながります。なぜ、こんなことをしなければならないのか? 著者はその原因を、日本が魅力のない国になってしまったからだ言います。そうして、この問題を多岐にわたって考察し、現在の官僚支配下にある野田政権の増税路線を批判します。現在、懸念される財政破綻が起これば、円安・株安・インフレというトリプルパンチが、国民生活を破壊してしまう可能性があります。資産フライトはこうした事態に個人で対処しようとする人々によって引き起こされます。

はたして、日本はこのまま経済衰退を続けていくだけなのか? なぜ、こんなことになるまで「失われた20年」を続けてきたのか? この本は、資産フライトをとおして見えてくる日本のリアルな姿を書ききっています。その意味で、新しい日本論と言っていいと思います。実際、編集者として「最終的に日本論にしてほしい」とお願いし、著者がそれにこたえて書いてくれました。その意味で、経済書、ビジネス書としての範囲を超え、多くの方に読んでいただきたいと思います。

(文藝春秋ノンフィクション局部長 新谷学)